日頃、ジュニアの育成に携わる指導者の皆さんの指導力向上を図り、ジュニア選手が心身ともに健全に成長することを目的に、今年度も全部で計4回の研修会を開催いたします。今年度、第1回目の研修が、11月1日(月)に柏崎市総合体育館会議室にて行われました。講師に、新潟医療福祉大学健康科学部健康スポーツ学科 助教 中島 郁子様をお迎えし、「ジュニア期の心の発達」をテーマに講演いただきました。ポイントを簡単にまとめたので、ご紹介します。
1 心と体
○心と体は一緒で切り離せない、心と体は双方に影響するという日本的な考え方(心身一元論)がある。欧米では、メンタルトレーニングなどもあり、必ずしも心と体は一緒ではないという考え方(心身二元論)が一般的である。
2 心のしくみ
○心は、ある程度コントロールが効く「意識」とコントロールの効かない「無意識」で構成される。
・「意識」へのアプローチ:例)アドバイスは、「すぐにその場で」を基本とする。
・「無意識に近い意識」へのアプローチ:例)イメージを大切にする。
「○○しないように~」という声かけは、かえって意識させてしまうことになる。
※「落ち着け!」は必要か?ジュニア期の選手は、成人の選手よりも少しテンションを上げた方が良いことが多い。
3 こどもの心の成長
○心の成長を「家づくり」に例えると、乳児期-土地つくり、幼児期-庭つくり、小学生期-1回目の家つくり、中学生期-「破壊」、その後-基礎工事で、自分づくりを完成させていく。
4 心を育てる
○「教える」とは、意識へのアプローチから。経験すればするほどできるようになる。「育てる」とは、無意識へのアプローチも含む。
○「葛藤」(理不尽・矛盾・不安・怒り)に耐えることも大切。納得しないけど“やる”ことで、人間的な「枠」を広げることができる。
5 心の安定
○コロナの影響は当然ある。自信を持てず、不安の中にいる子もいる。心を安定させるために、
・直接、コミュニケーションをとる機会を増やす。
・葛藤に耐える心の力を育てる⇒ゲームが楽しくなる。
○能力的な問題を抱える選手には、
・指導者がどこまで我慢できるか。勝つこと以外の価値がみつけさせることができるか。
○「ジュニア期の選手たち」の特徴は、
・見てほしい(気づいてほしい)、わかってほしい(理解してほしい)、特別になりたい(自分探し中)=自己中でアピールの一番強い時期!⇒ここをふまえ、指導者は声かけをしていくことが重要である。
◆質疑応答
Q:(問題を抱えそうな)子どもたちへの声かけの効果的なタイミングは?
A:状態を早く察知して声をかけることが大切である。問題になりそうなタイミングということ。その様子は、他の子どもたちも見ているし、伝わる。無理に平等に接する必要はない。
Q:「褒めて育てる」ことの良さは?また、具体的な方法は?
A:褒めることが全て良いわけではない。すごいと思っていない時は無理に褒めない。子どもなりに指導者の「本気」は分かるはずなので、どれだけ本音であるかが重要。適当だとすぐバレて逆効果。
約1時間半の講演でしたが、今、指導者が悩んだり困ったりしていることに、適切な示唆をいただいた講演でした。必ずや今後のジュニアの指導に役立つものと思います。中島先生、ありがとうございました。